「この子は語彙が豊かだな」
「自分の考えをしっかり言葉にできるな」
「多様な言語表現ができる子だな」
面接や行動観察の場、あるいは日々の教室でのやり取りの中で、私たちは一瞬にしてそれを察知します。
実は、少し言葉を交わすだけで、その子の語彙力の深さは驚くほどはっきりと分かってしまうのです。
そして最近その差が大きくなっている気がします。
■では、その「差」は一体どこから生まれるのでしょうか?
幼児が難しい言葉を知っていることではありません。
幼児期に必要な語彙力は「自分の感情や考えに、ぴったり合う言葉を使える力」です。
この力は、机上で覚えるものではありません。
日々の生活の中で、親子の間でどれだけ言葉が交わされ、どれだけ感情を分かち合ってきたか。
その「コミュニケーションの総量」が、そのまま子供の語彙の引き出しの数になります。
そして親が使っている言葉が子どもに大きな影響を与えます。
■私立小学校が見ている「言葉の背景」
入試分析セミナーなどでもお伝えしていますが、小学校受験では「関わり」重視になっています。
他者と関わるときに必須となるのが「言葉」
・慶應義塾幼稚舎: クイズやヒントを出し合う
・早稲田実業初等部: 親子で経験を振り返ったり、相談したりする
・成蹊小学校: 遊びを通じ、友達と関わり合う
・白百合学園小学校: 少人数の関わりから、大人数の関わりへ 状況に合わせた対応が必要になる
そのほか面接などでも、言葉の端々で 「その感情を、そのような言葉で表現できるんだな。素敵だな」 と感じることもあります。
学校が試験で見ているのは、表面上の受け答えではありません。
その言葉の背後にある、「家庭でどれだけ丁寧に、一人の人間として向き合ってきたか」というプロセスの集大成なのです。
ここまで読んで「語彙力が足りないから本を読ませよう」と思った方。
ちょっとお待ちを。
まずは今日一日の出来事を、どのような言葉で、どれだけ深く語り合えたかを振り返ってみてください。
どうですか?感情、様子、状況などを親自身も適切な言葉で伝えているでしょうか。
■ではどのように語彙力を増やせばよいか。
まずは以下を心掛けてみてください。
1. 感情・様子の具体化
「すごいね」「楽しい」で終わらせず、その中身を分解して伝えます。
「すごいね」
→ 「最後まであきらめないで、粘り強いね」
→ 「お友達に譲ってあげられて、優しいね」
→「勇気を出して挑戦できたのね。」
「楽しかった」
→ 「時間を忘れて、夢中になったね」
→「目が離せないくらい、ワクワクしたね」
→「初めて見ることできて、感動したね」
2. 位置・空間を具体化する(指示理解の基礎)
「あそこ」を卒業し、「行動観察」で役立つ空間語彙を増やします。
「あそこにあるよ」
→ 「本棚の二段目、右から三番目にあるよ」
→ 「テレビの後ろ側に隠れているよ」
「これを持ってきて」
→ 「一番手前にある、四角い箱を持ってきて」
→ 「お父さんの右隣にある新聞を取って」
3. 五感を具体化する(表現の幅を広げる)
「感性の豊かさ」は、五感を言葉にすることから始まります。
「これ、おいしいね」
→ 「外はカリカリ、中はふわふわしているね」
→ 「お出汁の香りがするね。」
「あれ、きれいだね」
→ 「花がそれぞれ色鮮やかだね」
→ 「水面がキラキラと反射して眩しいね」
4. 動作を具体化する 行動を具体的に伝えると、理解の齟齬がなくなります。
「ちゃんとやって」
→ 「お洋服を左右の端を合わせて、半分に折ろうね」
→ 「コップの水をこぼさないように、そっと置こうね」
「きれいに並べて」
→ 「背の順に、まっすぐ一列に並べようか」
→ 「靴のかかとを揃えて置きましょう」
■どうでしょうか。
これ全部やるとなんだかわざとらしい感じがしますか?
正直、私自身もここまで言葉を意識して日常を過ごしているわけではないのですが、言葉を美しく表現豊かにすることは、親自身の品格も上げることにつながります。
今日から一緒に「言葉」を大事に関わり合う生活を心がけましょう!



